ビットコイン、朝令暮改のトランプ関税だが、市場は徐々に慣れてきた?【仮想通貨相場】 image 0

ポイント

・8.5万ドルを挟んでのもみ合い

・CMEの窓埋め、トレンドライン、一目の雲の下限が重なる8.6万ドルに押さえられる

・自動車関税一部猶予の可能性、医薬品・半導体は通商法232条調査開始

・FRBウォラー理事利下げ示唆、「トランプ・プット」「パウエル・プット」意識される

昨日のBTC相場

昨日のBTC市場は底堅い展開。朝方8.3万ドル(約1,185万円)近辺から切り返すと、8.5万ドル(約1,215万円)を挟んだもみ合いが続いた。

BTCは先週月曜、ブラックマンデー再来への懸念から年初来安値を更新、7.4万ドル台まで急落したが、CNBCの「相互関税90日延期」との報道を受けて8.1万ドルに反発した。

しかし、この報道が「誤報」とされ、再び7.4万ドル台に値を下げた。木曜早朝、トランプ大統領がSNSで「中国を除く相互関税(上乗せ分)を90日間停止」と投稿すると反発し、8.1万ドルをネックラインとするダブルボトムを形成した。 

金曜未明、ホワイトハウスが対中関税を145%と強調し、中国も対抗措置を表明したため、BTCは一時8.1万ドルを下回った。しかし、米国債の入札が無事に通過したことや、米株式市場が下げ渋ったことで再び8.1万ドルを上抜けた。さらに、相互関税からスマートフォンやPCが除外されたことが判明し、日曜日に8.6万ドルにワンタッチした。 

しかし、トランプ大統領やラトニック商務長官が「スマートフォンやPCが相互関税から除外されたが、半導体に関しては別枠で関税が創設される」と説明すると、BTCは8.3万ドル台に値を落とした。それでも、CME先物が窓を開けずにオープンすると反発し、しばらく8.5万ドルを挟んだもみ合いが続いた。 

米株が小高くオープンすると、BTCは8.5万ドル台半ばに値を伸ばした。しかし、NY連銀が発表した期待インフレ率が予想を上回ったことが嫌気され、米株の上値が重くなると、BTCは一時8.4万ドルを割り込んだ。それでも、トランプ大統領が自動車関税について「工場を移転するまでの間、一部メーカーへの猶予を検討している」と述べたことで切り返した。 

また、ウォラーFRB理事が「関税のインフレ影響は一時的で、景気後退への影響が上回る」と述べ、利下げを支持する姿勢を示唆したこともあり、BTCは8.5万ドル台を回復した。しかし、医薬品や半導体などが安全保障上重要な物資として関税を課す調査を開始したと伝わると、BTCは8.4万ドル台に値を下げ、8.5万ドルを挟んだもみ合い推移を続けている。

本日のBTC相場

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著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト

東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。