コインベースがイーサリアム最大のノード運用者に ── 懸念される中央集権化リスク
米国の仮想通貨取引所コインベースがイーサリアム・ネットワークにおける最大のノード運用者となっていることが、ネットワークの中央集権化を巡る懸念を呼んでいる。業界幹部らは、こうした傾向が機関投資家の参入加速でさらに深刻化する可能性があると指摘している。
3月19日、コインベースは 独自のレポートを公表し 、同社がステーキングされたイーサリアム(ETH)の11%超を保有し、イーサリアムのノード運用者としては最大規模であることを明らかにした。
Web3スタートアップのミラ・ネットワークの最高経営責任者(CEO)であるカラン・サーデサイ氏は、コインベースの影響力の拡大は「イーサリアムのステーキング・アーキテクチャにおける構造的な問題を浮き彫りにしている」と述べている。
「ごく少数の大手プレイヤーがネットワークのセキュリティの大部分を支配するような仕組みができつつあり、分散化という本来の理念が損なわれている」と、サーデサイ氏はコインテレグラフに語っている。
レポートによれば、3月4日時点でコインベースは合計384万ETHをステーキングしており、バリデータ数は12万、全体の11.42%に相当するという。
なお、リキッド・ステーキング・プロトコルのLidoはより多くのETHをステークしており、 公式ウェブサイト によると約940万ETHを管理している。
しかし、デイリー・グウェイのホストであるアンソニー・ササーノ氏は 3月19日のX投稿 で、Lidoのステーク資産は数十の独立したノード運用者によって分散されていると指摘している。
リスクの軽減策として、コインベースはステーキング業務を5か国に分散し、複数のクラウドプロバイダーやイーサリアムクライアント、リレーを活用している。同社は「ネットワーク全体の多様性と健全性は常に最優先事項であり、そのためネットワークの分布状況を定期的に確認している」と述べている。
中央集権化のリスクが加速か
イーサリアムのネットワーク集中は、米国でイーサリアム上場投資信託(ETF)がステーキングを許可されれば、さらに深刻化する可能性がある。これはブラックロックなど資産運用大手にとって重要な関心事となっている。
コインベースは、米国の仮想通貨ETFにおける最大のカストディアンであり、9個ある米国の現物イーサリアムETFのうち8個でETHを 保管している 。
ブロックチェーン相互運用プロトコルWanchainのテムジン・ルイCEOはコインテレグラフに対し、「こうしたネットワークの集中は、検閲リスクの上昇やネットワーク耐性の低下を招く」と述べている。
例えば、ステーキングが集中すると「規制当局の圧力がかかる潜在的なポイントが生まれ、こうした大規模ステーキング事業者は、困難な局面ではネットワークの検閲耐性よりも規制遵守を優先する可能性が高い」と、サーデサイ氏は警鐘を鳴らしている。
さらに、米国で銀行がブロックチェーンのバリデータとして機能することを認める新たな規制ガイダンスも、中央集権化の懸念を強める要因になっていると業界幹部が指摘している。
ルイ氏は「もしステーキングの過半がコインベースや米国の銀行など規制下にある事業体に集中すれば、イーサリアムは従来型の金融システムに近づいてしまう」と警告している。
一方で、企業バリデータの増加は、ステーキングの集中を是正する可能性もある。とりわけ仮想通貨取引所ロビンフッドは、コインベースのステーキング支配を抑制する存在として注目されている。
サーデサイ氏によれば、ロビンフッドは「仮想通貨インフラやユーザーベース、技術的な能力をすでに備えており、ステーキング領域に迅速に参入できる体制が整っている。伝統的な銀行よりも早く、現実的にコインベースの地位に挑戦できる存在だ」と述べている。
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