米議会上院は3月26日、分散型金融(DeFi)プロトコルに対して内国歳入庁(IRS)への報告を義務づけるバイデン政権下のルールを撤回する決議を可決した。トランプ大統領は、これに署名するとみられている。

上院は、このいわゆる「 IRS DeFiブローカールール 」の撤回案を70対28で 可決した 。同ルールは、従来のIRS報告義務を拡大し、DeFiプラットフォームにも適用することを目的としていた。

この決議案はすでに3月初旬に上院で 可決されていた が、予算関連法案が下院から出されなければならないという憲法上の要件により、下院が独自のバージョンを作成し、3月11日に 可決した 。これにより、最終投票のため再び上院に送られていた。

ホワイトハウスのAI・仮想通貨政策責任者であるデービッド・サックス氏によれば、トランプ大統領はこのルールの撤回を 支持している という。

撤回対象のルールでは、分散型取引所などのDeFiプラットフォームに対し、仮想通貨の売却による総収益を報告し、取引に関与した人物に関する情報を提出することが求められていた。

このルールに対しては、「過度に厳しい規制がDeFiのイノベーションを妨げる」として批判の声が上がっていた。

ブロックチェーン協会のクリスティン・スミスCEOは、上院の可決を歓迎し、「この有害なルールを完全に撤廃できることを楽しみにしている」と 述べた 。

また、RWAトークン化プラットフォーム「セントリフューグ」の法務責任者であるイーライ・コーエン氏は3月はじめ、コインテレグラフの取材に対し「このルールは理論的にも実務的にも成立し得ないものだった」と語っていた。

一方、この決議案に反対した民主党のロイド・ドゲット下院議員は、同ルールの撤廃は「特定利害関係者への開示免除」であり、「金持ちの共和党支持者による脱税やマネーロンダリングを容易にするものだ」と批判した。

ドゲット氏は、「このルールを潰すことは、富裕層の脱税者、麻薬密売人、テロ資金提供者に悪用される抜け穴を開くことになる」と主張している。