モンタナ州のビットコイン準備法案、下院で否決

モンタナ州議会、ビットコイン準備法案を却下

モンタナ州で提案されていた ビットコイン 準備資産法案が、州下院で否決された。この法案は、ビットコイン（BTC）を州の準備資産として認めることを目的としており、州の財務管理にデジタル資産を組み込む試みだった。しかし、最終的には下院本会議で41対59の投票結果となり、可決には至らなかった。

法案の概要と目的

法案429号は、モンタナ州がビットコイン、貴金属、ステーブルコインを州の財務準備資産として保有することを可能にする内容となっていた。提案者は、法定通貨のインフレリスクに対抗し、州の財政安定性を向上させるために、これらの資産をポートフォリオに組み込むべきだと主張していた。

また、この法案の資金は、 アメリカ救済計画法 から得た利子で賄う修正案も提案されたが、十分な支持を得ることはできなかった。

法案は2月19日に モンタナ州のビジネス労働委員会 で12対8の投票結果を得て可決されていたが、下院本会議では最終的に否決された。

否決の理由と議会の反応

モンタナ州下院がこの法案を否決した主な理由として、以下の点が挙げられる。

• 税金のリスク：州の資産としてビットコインを保有することが、納税者にとってリスクとなる可能性
• 価格変動の懸念：ビットコインやその他の資産は価格変動が激しく、州の財政安定に貢献するかどうか疑問視された
• 規制の不確実性：仮想通貨に関する連邦政府レベルの規制が明確ではなく、州単位で導入することに慎重になるべきとの意見が多数を占めた

共和党議員の多くが法案を支持し、賛成40票、反対18票という結果となったが、民主党議員は全員一致で反対票を投じ、最終的に否決に至った。

一方で、一部の共和党議員も法案に反対の立場を取った。スティーブン・ケリー下院議員は「州には公的資金を保護する責任があり、仮想通貨のような変動性の高い資産への投資はリスクが大きすぎる」と主張。ビル・マーサー下院議員も同様に、州が仮想通貨やNFTといった投機的資産に投資することには慎重であるべきだと述べた。

これに対し、支持派のリー・デミング下院議員は「州が納税者の資金を有効活用するためには、投資利益を最大化する義務がある」と主張。法案の提案者であるカーティス・ショーマー氏も「州の投資委員会が債券などの伝統的な資産に依存し続けることで購買力を失っている」と警告し、法案を否決することの方がむしろリスクが大きいと指摘した。

スティーブ・フィッツパトリック下院議員も、「州には多くの遊休資金があり、デジタル資産や貴金属に投資することで利益を生み、最終的に税金負担の軽減につながる」と述べた。

仮想通貨採用を巡る全米の動向

モンタナ州の決定は、仮想通貨導入への慎重な姿勢を反映しており、同様の法案を否決した州としては ワイオミング州 、 ノースダコタ州 、 ペンシルベニア州 に続く4州目となった。

一方、全米24州では仮想通貨準備金法案の審議が進められており、特にユタ州が積極的な動きを見せている。2月20日、ユタ州上院歳入課税委員会はHB230「ブロックチェーンとデジタルイノベーション修正案」を可決し、全米の中でも規制面で最も進展を遂げた。現在、上院での最終投票を前に、2回目と3回目の読会が予定されている。

今回の投票は、伝統的な統治と仮想通貨推進派との対立を浮き彫りにしている。モンタナ州の決定は、今後の州レベルでの仮想通貨政策に影響を及ぼす可能性があり、他の州の動向にも注目が集まるだろう。